poetry laboratory

[詩の試作・発表][エッセイ・散文]

夏の日

昨日のさよならと
今日のさよならは
どこか違うような気がして
帰りそびれてしまった
だれもいない
草ぼうぼうの広い空き地で
むこうの林にすんでいる ひぐらし
の声を きいていた
夏のはじまりの高い太陽も
今はしっぽしか見えない
記憶は草の間に放してきた
ひぐらしの声は
もうすぐくる秋を予言している
心だけが
強く輝いている
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終わらない宿題

夏が僕をせめたてる
いつまでたっても終わらない宿題
僕だけの宿題

夏休みが終わるまでに
ひとつ答をみつけたい
秋には君にまた会うから
会わなくちゃいけないから

机上の空論くりかえすうちに
ナゼか走るのが遅くなった
わからないものは わからないものの
まま じゃ だめなのかな

ああきっと 君も僕をせめたてる
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天使になる

このまま 夏が くるのかな

とぼとぼ歩きながら考えていたら
まっしろになってしまった

このまま 夏が くるのかな

ああ もう ぼくにできることなんか
これっぽっちも残されてはいないんだ

湯水のように時を使って ぜいたくして
幸せなさみしさを考えていたけど
きみも ぼくも
傷ついてしまった

うん 見えるよ
昨日までのぼく
それでも朝はやってくるんだね

ごめんね
もう ぼくのことを考えるのはやめるよ

天使になって ここにいる
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月の道

あのとき わたし
なにをいえばよかったのかな
きみに対する気持ちだって
わたしの これからには
それほど重要だったとは
思えないのに

あのとき なにかいっていたら
違っていただろうね
よくはならなかったかもしれないけど
違っていただろうね

でも
月のみえる坂道は
とってもきれいで
ほんとうに すきとおっていて
消えてしまいそうで
わたしは黙ってしまった
きみは もっと黙っていた
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たましいの 傷口 に塗るクスリ
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わたしたち こんなふうになるために 生まれてきたんじゃないのにね
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タイムマシーン

呼びとめると
十二の時と同じ顔して
ふりかえった
波間に見える
タイムマシーン

ちぎれとんだ
水のビーズをつなぎあわせて
まぶしそうに
ハチミツ色の太陽

静かに雨が降るたびに失くしてた
水たまりをのぞくと
昨日がゆがんでた

頭の上
飛ぶための空がそこにあった
思い出した
波間に見える
タイムマシーン

大切にしていたわけでもないのに
壊れなかった気持ち
明日をゆがめても

呼びとめると
起きたばかりと同じ顔して
ふりかえった
波間のかなた
タイムマシーン
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さるすべり

さるすべり2



きみがでかけたあとの昼間
きみの家の前を通る
会ってみたいけど 会ったらコワイ
きみ ユーレイみたいだよ

きみの家の門の横に
白いさるすべりが咲いていた
おひさまに透けて
風によく似てる

黙祷のサイレン
変わらない思い出
それも ぼくの夏

きみを探して 見る
二階の窓
それも ぼくの夏

白いさるすべりを見るたびに
きみのことを思い出すような
会ってみたいけど 会ったらコワイ
そんな恋にしたくない

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とびうお

ひとつめの涙は 海
閉じ込められた深いあお
ひきずられるのを怖れたあれは
鳥にはなれない とびうお

ふたつめの不思議は 翼
銀色にひかる 月にはえる
あこがれてあこがれてあこがれて
鳥になりたい とびうお

 海は擬似空間
 まがいものの翼で
 きみは 自分もだましている

みっつめの秘密は 空
なにも知らない小さなさかなは
ときどき その翼で
鳥を真似する
とびうお
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北緯40度の月

DSCN0968.jpg





いくつもいくつも
夏空をおいこして
北へむかうと
北緯40度の線で
月は黙ってのぼってくる
だれもいない平原で
ひまわりだけが
月をみていた
限りなく静かなこころで
やはり黙って

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夏の一瞬

ああ ぼくらはなにも変わっちゃいない

あの日かわらではしゃいだ時
ぼくらを見ていた太陽だって
そう思っていたにちがいない

年齢なんて なんて無意味
ヤニくさいシャツだって
なんだか
生意気そうにしかみえない

二度ともどらない一瞬
を 切りとった写真
ほら みんなこんなにたのしそう
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観覧車

いっぱいの こどもたち
ひとりの ぼく

夕暮れを待って観覧車にのる

ぼくの生まれたまちがみえる
ねむっているような

錆びた観覧車だけが
夏空を まわってる
ぼくをのせて

雲間からこぼれる光のように
天使をしたがえて
おちていった
時間

天上と地上をひとめぐりすると
いっぱいの こどもたち
のなかの ぼくは
ひとりの まいご
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八月の丘

夕立がやんだから
沈んでゆく太陽が見えるから
あの坂をのぼって丘に行こう
夏草のゆれる丘の上で
ぼくが見下ろすのは何処だろう

夏草に隠れて暮れてゆく空を
見つめている
いつかのきもちで
今も同じきもちで

きみと迷い込んだ路地も見える
あの小径をぬけたところに
そうだ やっぱり ここがあった
あの道も あの道も
いつも丘にのぼる坂

わかりかけた明日

ふとりかけたお月さま
が 見え出した
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夏のベランダ

四角く切り取られた空
育つだけ育ったゼラニウム
洗濯物がコソコソ乾いてゆく
風が通る
笑う洗濯バサミ

夏の午後
タバコとおひさまと傷んだ桃

除湿機から細く水がおちる
気体から液体に変わったばかりの
きみわるく冷たい水

公園から子供の声
日没を知らせるオルゴオル
サンダルからのびる
不健康に白いわたしの足
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地球の夏休み

もうすぐ 太陽がのぼる
地球は 虹色にひかる金のビーズで満たされてゆく

ぼくらは 瞳のコンパスに
なにを映している?
胴乱のなかで動いている
それ なに?

走り続ける
楽園を求めて
いつも いつも
朝はぼくらにあたらしい一日を約束してくれる

知らなければいけないことが
かならずある
ぼくらには みんな意味がある

はじめての道
あったことのない人たち
みたことのない空
すべて ぼくらに続く時間

東風なら
地球がまわっているのがわかる

はじまったばかりの太陽の冒険
はじまったばかりの地球の夏休み
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