poetry laboratory

[詩の試作・発表][エッセイ・散文]

海を見ていた

あれから 何年たっただろう
また夏が来た
いつもと同じように
また海を見る

まっしろに心をとかすと
昨日のことみたい

変わらないことだってあるけど
あんなふうに 毎日会うわけにはいかないね
いつだって
自分の場所を変えるときが いちばんさみしい

海は
遠くにゆくほど きれいに見える
水平線に見たことのない風景を隠している

ぼくは
つぎの冒険を待つ子供みたいに
海を見ていた
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引越

タカラモノを見せてあげる
約束したのに
どうして

きみの家は からっぽ

開け放たれた窓
夏の陽射しは
からっぽの部屋から
色まで 抜き去ってしまった
まっしろに

いつも ふたり 丘の上
ぼくは ひとり たいせつな箱を開ける
透明な ビー玉
ちいさな錆びた カギ
青い色の 石
ちびた ロウセキ
かけた おちょこ
虫メガネ
玉虫の標本
せみのぬけがら

青い色の石 と 玉虫の標本 は
きみにあげるつもりだったのに
なんだったら
箱ごと 全部 あげちゃってもよかったんだ
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夏の日

昨日のさよならと
今日のさよならは
どこか違うような気がして
帰りそびれてしまった
だれもいない
草ぼうぼうの広い空き地で
むこうの林にすんでいる ひぐらし
の声を きいていた
夏のはじまりの高い太陽も
今はしっぽしか見えない
記憶は草の間に放してきた
ひぐらしの声は
もうすぐくる秋を予言している
心だけが
強く輝いている
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終わらない宿題

夏が僕をせめたてる
いつまでたっても終わらない宿題
僕だけの宿題

夏休みが終わるまでに
ひとつ答をみつけたい
秋には君にまた会うから
会わなくちゃいけないから

机上の空論くりかえすうちに
ナゼか走るのが遅くなった
わからないものは わからないものの
まま じゃ だめなのかな

ああきっと 君も僕をせめたてる
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天使になる

このまま 夏が くるのかな

とぼとぼ歩きながら考えていたら
まっしろになってしまった

このまま 夏が くるのかな

ああ もう ぼくにできることなんか
これっぽっちも残されてはいないんだ

湯水のように時を使って ぜいたくして
幸せなさみしさを考えていたけど
きみも ぼくも
傷ついてしまった

うん 見えるよ
昨日までのぼく
それでも朝はやってくるんだね

ごめんね
もう ぼくのことを考えるのはやめるよ

天使になって ここにいる
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